2009 年 41 巻 5 号 p. 365-367
Pitt-Hopkins症候群は特異顔貌, 間欠的過呼吸, 重度の精神運動発達遅滞を伴う症候群で, TCF4遺伝子異常が原因の一つとされている. 症例は26歳の男性で幼少時より低身長, 精神運動発達遅滞を認め, 9歳より常同運動, 睡眠障害が出現した. 12歳より便秘, 間欠的過呼吸に続く無呼吸が出現した. 広い鼻梁, 大きな口, お椀型の耳, 弓状の上唇といった特異顔貌を認め, 呼吸異常, 精神運動発達遅滞を呈したことからPitt-Hopkins症候群と診断した. Trans- cription Factor (TCF4) の解析を行ったが変異は認めず, 関連遺伝子の異常が疑われた. 臨床的にRett症候群やMowat-Wilson症候群と類似点が多く, これらの遺伝子異常を認めなかった場合には, TCF4の解析をする必要がある.