脳と発達
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原著論文
知的障害を伴う自閉症児 (者) の抑うつ症状としての「指示待ち」と治療的介入
横山 浩之廣瀬 三恵子奈良 千恵子涌澤 圭介久保田 由紀萩野谷 和裕土屋 滋飯沼 一宇
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2009 年 41 巻 6 号 p. 431-435

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抄録

 「指示待ち」はすでに獲得された日常生活行動をスモールステップな指示があるまで待つ状態である. 中等度以上の知的障害を伴う自閉症があり, 「指示待ち」を呈した9症例を検討したところ, 全例で大うつ病エピソードを満たし, 気分障害の合併と診断し得た. 9症例のうち7症例でfluvoxamineが「指示待ち」を含めた抑うつ状態に有効であった. 無効例ではrisperidoneやvalproate sodiumが有効であり, これらの症例が双極II型障害である可能性がある. 「指示待ち」は気分を言語表現できない自閉症がある児 (者) にとって, 抑うつ状態の症状であり, 診断上有用と考えられた.

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© 2009 一般社団法人日本小児神経学会
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