脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
症例報告
急性脳症に類似した急激な脳腫脹から臨床的脳死状態となったインフルエンザ菌髄膜炎の4歳男児例
白井 謙太朗中島 啓介渡辺 章充川野 豊佐久間 啓吉田 尊雅宮田 理英田沼 直之林 雅晴
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 41 巻 6 号 p. 447-451

詳細
抄録

 インフルエンザ菌 (Hib) による劇症型髄膜炎の1男児例を経験した. 症例は4歳男児. 生来健康であったが, 発熱, 嘔吐を来し傾眠傾向となった. 発症12時間後より細菌性髄膜炎の治療を開始したが, 急激な脳腫脹から脳ヘルニアを来し臨床的な脳死状態となった. 本症例は急性脳症と類似した臨床経過・画像所見を示し, さらには発症1日目の髄液で炎症性サイトカインが著しい高値を呈していた. 文献的考察から, Hibによる劇症型髄膜炎には, DIC (disseminated intravascular coagulation) ・多臓器不全型と急性脳腫脹型があり, 本例はサイトカイン・ストームによる急性脳腫脹型であると考えられた.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top