2010 年 42 巻 1 号 p. 15-21
読みの能力の発達を明らかにするため, ひらがな読みに特化した仮名表記の単音, 非単語, 単語, 単文4種類の音読課題を作成し, 通常学級在籍中の児童528名の音読に要した時間, 誤読数を解析した. 時間は全課題とも1年生が有意に長く, 学童期の前半に短縮し, 単音と非単語課題では5年生以降の, 単語と単文課題では4年生以降の変化が少なかった. 単語と単文課題の音読所要時間には強い相関がみられた. 一方, 誤読は全課題で少なく, 最初に読み誤るもののすぐに自己修正されるものや語頭音を繰り返して読むパターンは対象の半数にみられた. 今後は読みのつまずきを有する児童の所見と比較し, 簡便な音読検査としての活用法を検討していきたい.