脳と発達
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特別講演
社会能力の発達過程
—脳機能画像法によるアプローチ—
定藤 規弘
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2010 年 42 巻 3 号 p. 185-190

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抄録
 脳機能画像法は, ある心的過程と特定の脳構造を非侵襲的に対応付ける (脳定位) 有力な手法である. 社会能力発現機構とその発達の理解は, 心理学モデルの構成と検証にかかっている. 脳機能画像法は, 脳という場を制限条件として与えることにより, 心理モデルの構成と検証に寄与する. 通常心理モデルは, ある心的過程 (ならびに付随する行動) を説明するために形成されるが, その心的過程に対応する脳構造から得た情報を用いてモデル形成が可能となる. この際, その脳構造に関する現在の脳科学全般の知識を利用することができる. この点で, 脳機能画像法は, 現在膨大な知見の集積しつつある脳科学領域の情報を, 人間の発達心理学に結びつけるための接点を形成し, 脳科学を基盤とした発達コホート研究において重要な役割を果たす.
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© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
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