脳と発達
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原著論文
脳室周囲白質軟化症におけるNICU退院時の拡散テンソル画像の検討
深沢 達也山本 啓之久保田 哲夫
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2012 年 44 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

 NICU退院時のMRIが発達予後の予測に有用とする報告は見られるが, NICU退院時の拡散テンソル画像 (diffusion tensor imaging ; DTI) を評価した報告は少ない. 今回我々はNICU退院時のMRIで囊胞形成を認めた脳室周囲白質軟化症 (PVL) の2例と, 同様の変化を認めなかった3例との間で, NICU退院時のDTI所見を比較した. 脳梁膨大部, 脳梁膝部, 左右の大脳脚・内包後脚・錐体路に直接設定した関心領域と, tractographyを用いて描出した交連線維と皮質脊髄路の線維束全体を関心領域としてfractional anisotropy (FA) を計測したところ, 脳梁膝部・膨大部を通過する交連線維以外の計測箇所ではPVL症例のFAがより低値を示した. PVLの症例においては, 通常のMRIで検出できない白質障害がDTIでは検出できる可能性が示唆された.

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© 2012 一般社団法人日本小児神経学会
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