抄録
ビタミンKは骨代謝に関与する物質の一つである. 血中の低カルボキシル化オステオカルシン (undercarboxylated osteocalcin ; ucOC) は骨におけるビタミンK作用不足を示すマーカーとして注目されており, 骨粗鬆症患者での骨折リスクの予測, ビタミンK製剤による治療適応, 効果判定などに利用されている.
成人重症心身障害児 (者) では様々な要因による骨脆弱性により容易に骨折に至る場合が多い. 各種薬剤による治療が試みられているが, 未だ確立された予防法はない. 今回, 成人重症心身障害児 (者) の血中ucOC濃度を測定し, ビタミンKの骨への利用状態を評価した. 7例中6例でucOC高値を認め, その内5例にビタミンK製剤を投与し, 3例でucOC低下を確認した. 成人重症心身障害児 (者) では骨のビタミンK作用不足は存在し, ビタミンK補充がucOCを低下させうることが判明した. 血中ucOC濃度測定は成人重症心身障害児 (者) の骨折予防および治療管理に有用なマーカーとなる可能性が示唆された.