脳と発達
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シンポジウム3:先天性大脳白質形成不全症—疾患概念の確立から,病態解析・治療的展望まで—
疾患患者由来iPS細胞の樹立と病態解析
—中枢神経障害への応用—
下島 圭子山本 俊至
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2013 年 45 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

 2007年にヒトの皮膚線維芽細胞から人工多能性細胞 (iPS細胞) を樹立することができるようになった. iPS細胞はさまざまな組織の細胞に分化する能力を持つことから, 生きた患者から採取できない臓器における病態解析への応用が期待されている. 中枢神経疾患はiPS細胞による病態解析がもっとも期待されている疾患のひとつである. 患者皮膚線維芽細胞からiPS細胞を樹立し, 神経細胞に分化誘導することにより, 患者の病態を試験管内で再現することが可能となる. したがって, Pelizaeus-Merzbacher病を初めとする先天性中枢神経疾患はiPS細胞による病態解析のモデルとしてふさわしい. これまでの我々の取り組みを紹介し, iPS細胞による病態解析の問題点と将来展望について概説した.

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© 2013 一般社団法人日本小児神経学会
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