脳と発達
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シンポジウム5:見逃してはならない治療法のある,あるいは今後期待できる小児神経疾患:診断と治療の最前線
結節性硬化症の中枢神経症状と治療
水口 雅
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2015 年 47 巻 2 号 p. 106-111

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抄録

 結節性硬化症の病因はTSC1/TSC2遺伝子の機能低下, 病態はmammalian target of rapamycin (mTOR) 系活性の亢進である. 症状は多様であり, 年齢依存性に変化する. 診断は形態学的な基準にもとづくので, 画像診断を多用する. 治療は従来, 個別の病変や症状に対する対症療法に終始していたが, 近年, mTOR阻害薬の出現により様相が一変した. mTOR阻害薬は結節性硬化症の脳腫瘍・腎腫瘍の治療薬であるが, てんかんや自閉症などの神経症状, 皮膚腫瘍など全身の病変にも奏効する可能性がある. mTOR阻害薬の導入により結節性硬化症の診療体系は複雑化し, 新たなガイドライン策定が求められている.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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