脳と発達
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シンポジウム2:発達性読み書き障害(dyslexia)診断と治療の進歩:医療からのアプローチ
臨床診断の実際
稲垣 真澄
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2015 年 47 巻 3 号 p. 187-193

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抄録

 発達性読み書き障害 (developmental dyslexia ; DD) は全般的知能が正常で学習意欲があるにもかかわらず, 読み書きの発達が特異的に障害される. 単語認識における正確性かつ/または流暢性の客観的な把握が重要で, ひらがな音読, 数字と線画呼称の定型発達を小学生で確認し, 読み書きにつまずきを持つ小中学生の臨床症状と音読特徴を検討した. その結果, 読字・書字各15項目からなる臨床症状のうち7つが該当し, ひらがな音読課題2つに異常がみられる場合に, DD群は感度と特異度がバランス良く, 非DD群と弁別できることが判明した. DD診断手順として, 詳細な問診と小児神経学的診察ののち, 知能の把握を行い, 読み書き能力評価, 認知機能評価, 他の発達障害の併存有無の確認を行い, 総合的に行うべきと考えた.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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