2015 年 47 巻 4 号 p. 266-271
近年, Duchenne型筋ジストロフィー (Duchenne muscular dystrophy ; DMD) に対する治療薬の研究開発が盛んに行われている. しかし現時点では, DMDの筋症状への有効性が客観的に証明された治療薬はステロイド薬に限られる. DMDに対するprednisoloneの薬事承認, DMD診療ガイドラインの発刊により, 今後, 本邦でも本治療がより広く普及することが予想される. DMDにおけるステロイド治療の有効性には, 短期間の運動機能改善だけでなく, 歩行可能期間の延長, 側彎進行抑制, 心肺機能温存などの効果も認識されつつある. 一方で, 長期ステロイド治療による肥満や骨粗鬆症等の副反応も懸念され, 最適な投与方法, 投与開始時期, 投与期間に関する研究が現在も行われている.