脳と発達
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症例報告
Baclofen持続髄注療法の機能不全の診断にRIシンチグラフィが役立った脳室腹腔シャントを有する男児例
柴田 明子山本 真梨子渡邊 優寺嶋 宙柏井 洋文久保田 雅也師田 信人
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2015 年 47 巻 5 号 p. 367-371

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抄録
 Baclofen持続髄注療法 (intrathecal baclofen therapy ; ITB療法) は重症の痙縮の治療法として, 国内では2007年に小児にも適応が拡大された. 今回, ITB療法の機能不全の原因診断にradioisotope (RI) シンチグラフィが有効だった症例を経験したので報告する. 症例は7歳男児. 裂脳症, 水頭症, 痙性四肢麻痺を合併し, 前医にて脳室腹腔 (VP) シャントを施行されていた. バクロフェンポンプ埋め込み術後1カ月後にbaclofen離脱症状を呈した. 各種検査ではポンプ機能やカテーテルの形態異常, カテーテル通過障害は認められなかった. RIシンチグラフィによりbaclofenが早期に体循環に排出されている可能性が示唆された. 脊椎後弯による髄液通過障害とVPシャントによる髄液排出が原因と考えられた. 再手術により, 脊椎管内のカテーテル位置を尾側に移動させ, 症状の改善を得た. RIシンチグラフィはbaclofen薬液の空間的, 時間的な動態を判別できバクロフェンポンプ機能不全時の検査として有用であった.
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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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