脳と発達
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原著論文
蘇生後脳症後の重症心身障害児における生体インピーダンス法を用いた体組成評価と栄養管理の検討
水口 浩一久保田 雅也
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2016 年 48 巻 5 号 p. 337-341

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抄録

 【目的】人工呼吸器に依存する重症心身障害児 (重症児) は, 少ない摂取エネルギーでも, ときに栄養過多による肥満が問題となる. 長期人工呼吸管理中の蘇生後脳症児5例に対し, 生体インピーダンス法 (BIA) で体組成を測定, 病態とエネルギー必要量を検討した. 【対象・方法】年齢1~9歳. 体組成は多周波数BIA (InBody S20®) を用い, 体脂肪率, 骨格筋量, 除脂肪体重 (FFM) を測定した. 各症例の経過を後方視的に検討した. 【結果】体脂肪率は40~60%と高く, 全例で肥満, 過栄養状態であった. また, 骨格筋量と, FFMが減少していた. 適切な摂取エネルギー量の検討後は210~350kcal/日と極めて少なく, FFMあたり25~42kcal/kg/日で維持できていた. 【考察】人工呼吸管理を要す蘇生後脳症児の体組成は, 体脂肪が増加し, FFMは減少する. FFMが基礎代謝量に強く相関するため, 本病態では体重を用いたエネルギー必要量の設定では過栄養となる. FFMを基準にしたエネルギー必要量の設定が望ましい. 【結語】BIAを用いた体組成の把握は, 重症児の栄養管理の一助となる.

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© 2016 一般社団法人日本小児神経学会
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