2016 年 48 巻 6 号 p. 430-433
Joubert症候群では新生児期の呼吸障害が特徴である. 年齢とともに改善するとされていたが, 幼児期以降も睡眠呼吸障害が伴いやすいと近年報告された. 症例は15歳男児. 新生児期より呼吸障害を, その後精神運動発達遅滞および筋緊張低下を認めた. 臨床経過と9歳時に頭部MRIのmolar tooth signよりJoubert症候群と診断. 15歳時に日中の眠気で受診. 問診と質問紙評価 (エプワース眠気尺度, 小児睡眠質問票およびピッツバーグ睡眠質問票) により日中の過度の眠気と睡眠呼吸障害ありと判断した. 終夜睡眠ポリグラフ検査を行い, 無呼吸低呼吸指数16で, 中枢性パターンより中枢性睡眠時無呼吸症候群と診断した. 夜間在宅酸素療法を導入し, 1カ月後には質問紙評価での日中の過度の眠気と睡眠呼吸障害は改善し, 12カ月後も改善を維持した. 本症例のように, 非特異的な訴え (日中の眠気) を契機に初めて睡眠呼吸障害が評価され, 治療介入により改善に至ることもある. Joubert症候群の診療においては, 幼児期以降でも睡眠呼吸障害の存在を常に念頭におくべきであると考えられた.