脳と発達
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原著論文
重症心身障害者の骨粗鬆症に対する静注用alendronateの有用性
加賀 佳美石井 佐綾香黒田 格神谷 裕子中村 幸介金村 英秋杉田 完爾相原 正男
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2017 年 49 巻 2 号 p. 113-119

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抄録

 【目的】高齢発症の骨粗鬆症例に対してbisphosphonate (BP) 経口製剤は有効とされるが, 投与後に食道炎の防止のため通常30分以上の座位保持が必要とされる. 近年静注用BP製剤が発売され, 胃・食道逆流が問題となる例や座位がとりにくい例でその投与が試みられている. 本研究では骨粗鬆症を持つ重症心身障害者 (重症者) に対して静注用BP製剤 (alendronate) を継続的に投与し, その有効性について検討した. 【方法】20~60歳の入所中重症者のうち骨粗鬆症が判明した62例を二群 (BP投与群32例と対照群30例) に分け, BP投与群に対してはビタミンD3とalendronateを併用し, 対照群はビタミンD3のみ投与した. 評価項目を骨密度量, 血中骨代謝マーカーとして, 投与前および後 (6カ月, 1年, 2年後) で群間比較した. 【結果】BP投与群では投与6カ月後と1年後に投与前と比べて骨密度の変化が有意に増大し, 血中骨代謝マーカー値の低下が認められた. 1年以降に, 治療変更16例, 治療開始12例が生じたが, 2年後の骨密度変化はBP投与群 (16例) では有意に増大し, 対照群 (18例) では低下していた. 骨折は対照群の1例に認められ, BP投与による重篤な副作用はなかった. 【結論】静注用alendronateは, 重症者における骨粗鬆症治療薬として安全に投与でき, 全般的に有効性があると考えられる.

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© 2017 一般社団法人日本小児神経学会
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