2017 年 49 巻 2 号 p. 87-93
重症筋無力症は, 自己抗体によって神経筋の刺激伝達が障害される自己免疫疾患である. 病態解明が進み, 治療方針も変化したことから, 「重症筋無力症診療ガイドライン2014」 として改訂された. Evidence-based medicine (EBM) に則って作成されたガイドラインは, 客観的で正確な情報を提供する一方で, 希少疾病ではそもそもエビデンスレベルの高い論文が存在せず, 曖昧な推奨の記載にならざるをえない. 各施設, エキスパートの間でも方針は統一されておらず, 具体的な記載が難しい. ガイドラインは万能でなく, その利点と欠点を理解して使いこなす必要がある. ここでは, 重症筋無力症ガイドライン診療のピットフォールや不足部分に焦点をあて, 診療ポイントを述べる.