2017 年 49 巻 5 号 p. 339-342
網膜片頭痛 (RM) は単眼の視覚障害の発作が片頭痛に伴って繰り返し起こる疾患で, 国際頭痛分類第3版β版で片頭痛に分類されている. 本邦に小児の報告はない. RMと診断しカウンセリングにより頭痛が改善した小児例を経験したので報告する. 症例は14歳7カ月の女子, 母親は前兆のない片頭痛. 12歳より右目が暗くぼやけた後に頭痛を訴えるようになり, 14歳6カ月時には1カ月に5回ほどの発作が起きたため総合病院の眼科と小児神経科に受診した. 非発作時の眼底検査, 視野検査, 視力, 頭部MRIに異常なく片頭痛と診断されrizatriptanを処方された. Rizatriptanは無効で気持ち悪くなるため内服を嫌がった. インターネットで頭痛専門医を調べて当院を受診した. 頭痛は片頭痛の診断基準を満たし, 視野障害は左目に障害はなく, 右目の右側が暗く見えない. 視覚障害の後に必ず頭痛がはじまるためRMと診断した. 患児には悪性の疾患でないこと, 予防療法が有効である可能性を説明しibuprofenを処方した. 当院受診後1年経過した時点では発作は数カ月に1回となり, 頭痛に対してibuprofenは有効であったため予防療法は行っていない. RMでは網膜の血管れん縮が起きるため網膜動脈血管を収縮させるtriptanの使用は避けなくてはならない. 片頭痛の診療をする機会の多い小児神経科医もtriptanを使用する場合に注意が必要である.