脳と発達
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原著論文
小児の脳静脈洞血栓症5例の臨床的および画像的検討
池田 梓高嶋 裕美子露崎 悠市川 和志相田 典子後藤 知英
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2017 年 49 巻 6 号 p. 396-400

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抄録

 【目的】小児の脳静脈洞血栓症 (cerebral sinovenous thrombosis, 以下CSVT) について臨床症状, 画像, 予後を検討する. 【方法】診療録をもとに後方視的に検討した. 【結果】CSVT患者は5例 (男児2例, 女児3例). 日齢4~8歳 (中央値3歳). うち1例は新生児であり, 4例は幼小児であった. 幼小児の4例では基礎疾患や血栓傾向を認めたが, 新生児では認めなかった. 全例で急性期に抗凝固療法を行っており, 神経学的予後は良好であった. D-ダイマーは全例で上昇していたが予後との相関はみられなかった. Susceptibility-weighted imaging (SWI) を評価した3例ではいずれも静脈うっ滞, 出血, 血栓像が明瞭に描出された. 【結論】小児CSVTでは年齢により臨床症状が異なるがいずれも非特異的であり, 正確な画像診断と急性期の抗凝固療法が重要である. SWIは静脈うっ滞, 出血や血栓の描出に優れるためCSVTを疑う場合にはSWIが有用である.

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© 2017 一般社団法人日本小児神経学会
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