脳と発達
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短報
マイコプラズマ感染症関連の無菌性髄膜炎に外転神経麻痺を合併し, 免疫グロブリンが奏効した1例
底田 辰之松井 潤西倉 紀子高野 知行
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2018 年 50 巻 1 号 p. 60-61

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抄録

Mycoplasma pneumoniae (Mp) は続発して神経合併症をきたすことがある病原体として重要である. 抗糖脂質抗体との関連が報告されているが, 詳細な病態については不明な点が多い. 症例は12歳女児. 第1病日に頭痛のため近医を受診し, 第3病日よりazithromycin, 第6病日よりcefcapene pivoxilを投与されたが症状改善認めないため, 第10病日に前医に入院となった. 髄液検査にて細胞数175/μlと増加あり, 第16病日のマイコプラズマ抗体価 (PA法) で640倍と高値であったため, Mp感染症に合併した無菌性髄膜炎と診断され当院に転院となった. 転院後minocyclineを投与したが症状は持続し, 第25病日より複視の訴えが出現し, 右外転神経麻痺を認めた. 同日の頭部MRIでは軽度の髄膜造影効果以外に, 異常所見は認めず, 免疫グロブリン400mg/kg/日を計5日間投与したところ, 頭痛, 発熱, 外転神経麻痺の症状は徐々に改善し, 第35病日に退院となった. 第46病日の外来受診時には, 外転神経麻痺, 複視の症状は消失していた. また, 第15病日の検体で測定した抗糖脂質抗体は, 抗Gal-C抗体 (IgG) が陽性であった. Mp感染に関連し抗Gal-C抗体陽性の無菌性髄膜炎で, 外転神経麻痺を合併した報告はこれまでになく, 免疫グロブリンの有効性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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