2018 年 50 巻 3 号 p. 183-188
次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子の情報による診断や治療 (ゲノム医療) が, 日本においても急速に普及してきている. これにより, 多くの稀少難病の遺伝学的診断が可能となってきており, 小児神経領域の診療には必須となっている. 本稿では, 我々の行ってきた遺伝学的診断, 次世代シークエンサーを用いた新たな遺伝学的診断, さらに具体例として保険診療として実施可能となった脆弱X症候群, 筋強直性ジストロフィー症の出生前診断などを紹介する. さらに, 稀少難病の遺伝学的診断を正しく理解するための一助として, よくある遺伝学的検査の誤解について解説する. 最後に, 新たなゲノム医療のための人材の育成についても述べる.