脳と発達
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原著論文
薬剤抵抗性の小児慢性片頭痛におけるtopiramate予防内服
林田 拓也斎藤 義朗前垣 義弘
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2018 年 50 巻 4 号 p. 269-275

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抄録

 【目的】薬剤抵抗性の小児慢性片頭痛におけるtopiramate (TPM) 予防内服の効果について検討した. 【方法】先行して処方された片頭痛予防薬で症状が十分に改善しなかった5例を対象に, 臨床的背景, 頭痛の特性, 併用薬, TPMの投与期間, 予防効果, 副作用などに関して後方視的に検討を行った. 【結果】対象は初診時年齢が10歳から14歳で, 男児が4例, 女児が1例であった. 5例中4例が慢性連日性頭痛の診断基準を満たしていた. TPM開始1か月以内に, 5例とも頭痛頻度は減少し, そのうち3例は頭痛頻度が75%以上の減少を示した. 残りの2例も一旦は頭痛頻度が減ったが, 後に再増悪した. 副作用としては, 2例に眠気, 1例に体重減少がみられたが全例で治療継続可能だった. 【結論】薬剤抵抗性の小児片頭痛は慢性化しやすく治療に難渋することが多い. TPMは, 心理社会的要因や発達特性が関与している症例に対しての持続的効果は3例中1例と限定的であった. これらの要因のない, 特に慢性片頭痛に移行してから早期の段階で試みる価値が高いと考えられた.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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