脳と発達
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<シンポジウム1:急性脳症の最新知見>
興奮毒性型急性脳症スペクトラムの拡がり
髙梨 潤一
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2019 年 51 巻 3 号 p. 163-166

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抄録

 けいれん重積型 (二相性) 急性脳症 (AESD) は病態として興奮毒性が推定され, 最も頻度が高い脳症症候群である. 「分類不能」 群のなかで軽症例の一部はMR spectroscopyで一過性のグルタミン上昇を認め, 興奮毒性型急性脳症の軽症スペクトラム (MEEX) と推定される. AESDにMEEXを加えると興奮毒性型が半数以上と想定される. また, AESDとして典型的な経過をたどりながら, late seizures後に急激に脳浮腫に陥り予後不良な経過をたどる症例も存在する. 頭部外傷後 (abusive head traumaを含む) に, AESD類似の臨床経過・画像所見を呈する乳児症例 (TBIRD) もMR spectroscopyでグルタミンの一過性上昇が認められ興奮毒性の関与が疑われる.

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© 2019 一般社団法人日本小児神経学会
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