脳と発達
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短報
ムンプスウイルス感染症が先行し視神経炎で発症した抗myelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体陽性関連脱髄疾患の1例
水沼 真也川本 大樹津田 祐子田村 彰南 弘一鈴木 啓之高橋 利幸
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2019 年 51 巻 3 号 p. 206-208

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抄録

 抗myelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体は, 小児の急性散在性脳脊髄炎や視神経脊髄炎など脱髄疾患で陽性例が報告されている. 今回, 我々はムンプスウイルス感染症が先行し視神経炎 (optic neuritis; ON) で発症した抗MOG抗体陽性関連脱髄疾患の7歳女児例を経験した. 右眼痛, 右視力低下が出現し視神経炎の診断で当院へ紹介受診した. 右視力は10cm手動弁まで低下しており, 頭部MRIのT2強調画像とfluid attenuated inversion recovery (FLAIR) で右視神経の腫大, 両側大脳皮質下白質に高信号病変を認めた. ステロイドパルス療法3クール, ガンマグロブリン大量療法を施行したところ治療に反応し視力は右眼1.5まで改善した. その後, 抗MOG抗体の陰性を確認してステロイド内服を中止したが, 再発なく経過している. 抗MOG抗体についてはその病的意義や感染症との因果関係は明らかにされていないが, 本症例ではムンプスウイルス感染症が先行した. 抗MOG抗体とムンプスウイルスとの関連を指摘した報告はなく, 今後さらなる症例の蓄積による検討が必要である.

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© 2019 一般社団法人日本小児神経学会
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