脳と発達
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原著論文
3回以上の発作を繰り返した熱性けいれん31例の臨床的検討
高橋 孝治中島 啓介太田 正康太田 哲也
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2019 年 51 巻 5 号 p. 297-302

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抄録

 【目的】熱性けいれんを繰り返した症例の予防的治療, 脳波などの経過を検討し, 脳波の必要性や抗てんかん薬内服の適切な期間を検討する. 【方法】熱性けいれんを3回以上発症し平成26年11月1日〜平成29年10月31日までに当科の神経外来を受診した症例の診療録などから後方視的に検討した. なお今回, 2年以上けいれん発作が見られなかった場合, 観察期間中最後の発作をその症例の最終発作とした. 【結果】対象は31例で観察期間は中央値で4年6か月であった. 再発予防として全例でまずdiazepam坐剤の投与が試みられていたが, 1例はふらつきが強く無治療となった. 抗てんかん薬を内服した18例のうち, 16例でvalproate, 2例でphenobarbitalを初めに選択された. 調査時点で24か月以上内服していた16例のうち, 内服開始から24か月以内に13例 (81%) で最終発作を認めていた. 脳波が評価可能な28例のうち検査の適応が無熱性けいれんの2例を除く26例では, 発作回数と脳波異常の検出時期に有意な相関はみられなかった. 【結論】熱性けいれんを繰り返す症例では内服開始後約80%の症例で2年以内に以降の再発がなく, 予防内服期間は1〜2年が適当である可能性が示唆された. また, 脳波検査の要否および最適時期をけいれん発作の回数から推定することは困難であった.

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© 2019 一般社団法人日本小児神経学会
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