脳と発達
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総説
電位依存性ナトリウムイオンチャネルとてんかん
石井 敦士
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2021 年 53 巻 1 号 p. 5-9

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抄録

 てんかんは何らかの要因により, 脳神経細胞の興奮と抑制の均衡が破綻し, 脳神経細胞の過剰な興奮による. 電位依存性ナトリウムイオン (Na) チャネルは神経細胞での伝導調整を担い, てんかんの発症に大きく関与する. てんかんでの異常が報告されている電位依存性Naチャネルをコードする遺伝子は, SCN1A, SCN2A, SCN3A, SCN8Aの4つの遺伝子である. SCN1Aは素因性てんかん熱性けいれんプラス, SCN2Aは良性 (家族性) 新生児乳児てんかんと比較的軽症なてんかんにおいて病的バリアントが見られる. 一方で, いずれも重症な発達性てんかん性脳症においても病的バリアントを認める. 本項では, これら4つの遺伝子の異常と, それによる表現型について最新の知見を踏まえて解説する.

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© 2021 一般社団法人日本小児神経学会
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