2021 年 53 巻 6 号 p. 425-429
抗N-methyl-D-aspartate (NMDA) 受容体脳炎が特定されたのは, 約13年前と比較的最近であるが, これまでの研究により抗NMDA受容体脳炎は最も多い自己抗体介在性脳炎であることがわかった. 急性発症する精神症状や不随意運動をみた場合には必ず鑑別に挙げる必要がある. 病態の解明と診断・治療方針が大きく進捗しているが, 適切な治療を行わないと回復までに非常に長い期間を要し, 急性期に死に至る場合や, 後遺症を残す場合もある疾患であり, 早期発見と早期治療は非常に重要である.
本総説では, 抗NMDA受容体脳炎についての概要と, 小児例の特徴や近年提唱された早期診断・治療のためのアプローチについて述べる.