ADHDの併存症は,病因や病態の関連が想定される一次性併存症と,環境との相互作用で発症し得る二次性併存症に分けられる.不安,うつはADHDの二次性併存症とされる.低年齢でのADHD症状がその後の不安症状を予測する可能性が指摘されており,養育の影響も含めてさらに検討が必要である.Tourette症は他の発達障害と共にADHDの一次性併存症とされる.Tourette症を併存すると,ADHDのみよりもQOLが不良になるとされる.併存症を含めて患者を包括的に理解して治療・支援を行う必要がある.例えば,Tourette症の併存では,チックの改善や悪化が報告されているADHD治療薬のあることを考慮する.