脳と発達
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症例報告
日光過敏症から骨髄性プロトポルフィリン症と診断されたモザイク型18q21.2-q22.1欠失の1例
杉原 進竹内 千仙沼部 博直山本 俊至今井 祐之
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2022 年 54 巻 5 号 p. 352-355

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抄録

 骨髄性プロトポルフィリン症は18番染色体長腕の部分欠失で生じうる.我々の知る限り,本症例は欠失部にferrocheletaseFECH)遺伝子(18q21.3)を含むものとして2例目である.我々はここにモザイク型18q21.2-q22.1欠失の15歳男子を報告する.患児は赤血球プロトポルフィリン上昇と光溶血現象陽性により骨髄性プロトポルフィリン症と診断された.アレイCGH解析では,18q21.2-q22.1欠失を認めた.FECH遺伝子(18q21.3)とPitt-Hopkins症候群で欠失が見られるtranscription factor 4(TF4)の遺伝子座が同部位に含まれていた.FECH遺伝子直接シークエンス法による解析で低発現性アレルNM_000140.5(FECH):c.315-48T>C(rs2272783)多型を認め,遺伝学的にも骨髄性プロトポルフィリン症と診断された.本症の光線過敏症の平均発症年齢は4歳である.しかし患児が15歳まで骨髄性プロトポルフィリン症を呈さなかったのは,日光暴露が最小限であったことと,18q21.2-q22.1欠失がモザイク型であったためと考えられた.

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© 2022 一般社団法人日本小児神経学会
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