発達のごく早期に広汎な脳損傷をうけ, 運動発達, 知的発達がほとんどみられないまま, 持続的にいわゆる植物状態を示す “失脳状態” の小児19例の頭皮上脳波所見につき検討し, さらにそのうち10例について剖検所見と対比し次の結果をえた.
1. 覚醒時背景脳波は非律動性徐波活動を示した. また背景脳波が平坦波を示した症例では, 半球病変が特に高度であった.
2. 睡眠記録では, 瘤波・紡錘波を欠き, また背景活動が覚醒時と区別がつかない例も認められ, 睡眠発現機構に何らかの異常の存在が推定された.
3. 薬物速波を欠くものが多かった.
4. 発作活動は多焦点性で半球の広汎な病変と対応していた.
5. 経時的に徐波化, 非律動化が進み, 病変の進行が考えられた.