脳と発達
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脳性麻痺の神経生理学
青山 正征
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1979 年 11 巻 3 号 p. 208-217

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抄録
1.除脳固縮,除皮質固縮は,大脳皮質,中脳,脳幹の障害により,主として促通性の橋網様体脊髄路と抑制性の延髄網様体脊髄路のバランスが崩れ,γ 一hyperactivityをおこして伸張反射弓の感度が高まることによると同時に,伸筋を促通する前庭脊髄路の促通効果が充進することによって伸筋の運動細胞が発火しやすくなることによる.2.これを姿勢反射で考えると伸張反射,陽性支持反応,陰性支持反応の異常であり,まとめて抗重力機構の異常と表現できる.3.脳性麻痺の立位姿勢は年齢とともに抗重力機構が不充分な状態から過剰な状態に変化すると考えられ,また過剰な状態での立位の筋電図では緊張性発射パターンが多くみられ,立位のバランスを調節する屈筋と一部の伸筋の相動性発射パターンを欠くか貧弱である.これは陰性支持反応の欠除あるいは貧弱さを示していると考えられる.4.脳性麻痺の運動の異常としては次のようなことが考えられる.すなわち,痙直型両側麻痺にみられる左右分離運動の拙劣な歩行の異常は歩行リズムを形成する自動制御システムの異常と考えられ,不随意運動型四肢麻痺にみられる随意的屈伸運動の拙劣さは運動時の相反性神経支配の不充分さによると考えられる.
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© 日本小児小児神経学会
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