脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
CT診断の意義-主として非発作性疾患について
隅 清臣清水 寛二木 康之藪内 百治
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 12 巻 2 号 p. 105-112

詳細
抄録
非発作性の主要な小児神経疾患について, CTスキャンの臨床的意義-特に精神運動発達-を検討した.
1. 本法は簡便で非侵襲的に脳の病変を画像により認識することができ, 神経症状の解釈にかかすことができない.
2. 脳性麻痺, 精神遅帯, 化膿性髄膜炎, 脳炎, 脳症, 先天性代謝異常症では重症のものほどCTスキャンの異常率は高く, しばしば著明な脳萎縮や比較的広汎な低吸収域が出現し, 臨床所見と密接な関係をもっている.しかし, モヤモヤ病, 色素性乾皮症ではCTスキャンに異常を示すものは少なかった.
3. 軽度ないし中等度の精神遅滞や運動障害をもつものでは臨床所見とCTスキャンとの相関は少ないが, 前者より後者の方が異常率は高い.しかし, てんかん合併の有無-主として大発作-とは相関を認めなかった.
4. 本法は脳病変の変化を臨床症状とともに経時的に観察することができる.特に化膿性髄膜炎, 脳炎, 脳症などの予後判定に重要な資料となる.
5. 特異なCT所見を示す疾患を認める.
1) 左右対称の低吸収域: 白質ジストロフィー, 先天性筋ジストロフィー (福山型)
2) 石灰化像: 内頸動脈閉塞症, 結核性髄膜炎 (脳槽), コッケイン症候群 (基底核), 特発性副甲状腺機能低下症 (基底核), 特発性大脳基底核石灰化症など.
著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top