脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
手術適応はどのように決定しているか乳幼児の硬膜下血腫 (水腫)
追跡的研究と手術適応の検討
岡 英次石田 喬士三宅 進石田 純郎大田原 俊輔
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 13 巻 2 号 p. 115-121

詳細
抄録

乳幼児の硬膜下血腫 (水腫) の手術適応を明らかにする目的で, 2歳以下の47例につき追跡的研究を行ない以下の結果を得た.
1) CAG, CT所見による従来の手術適応の決定はほぼ妥当であるが, 初期のCAG, CT所見が軽微といえども障害を遺すことがある.
2) 貯留液が少なくても重篤な障害がみられており, CAG, CT所見による手術適応規準には限界がある.臨床症状が消失し, CAG, CT所見が軽微な場合にも, 脳波上, 局在性低電位の存続する場合には, 厳重な監視, 反復検査が必要である.
3) 硬膜下血腫 (水腫) は手術時期を逸すると皮質萎縮をきたしうる.正常発達を遂げた手術例のtreatment lagは最長3.5ヵ月であった.
4) 知能・運動障害を遺さぬ場合にもてんかん発症は高率 (22/47例, 46.8%) であり注意を要する.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top