脳と発達
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肥満の発生と進行における神経系の役割
楠 智一
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1981 年 13 巻 2 号 p. 89-96

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抄録
肥満症, とくに小児の単純肥満の発生と進行に関しては, 素因, 年齢, 環境要因などが大きな意義を持つている.このうち素因については, 食欲 (摂食量) の調節, エネルギーバランスに関連ある内分泌・代謝上のホメオスターシス機構などが重視されよう.そしてこれらを統御する上位の役割を有するのが中枢神経系, とくに視床下部の存在である.
筆者は, Monosodium glutamateの大量投与による実験的肥満が, 過食を前提とせずに発現することから, このマウスについて, 視床下部神経核の形態学的傷害像, 代謝学的初期変化, 腸管の細胞動態などについて検討した.その結果と先人の業績とを参照しつつ, 現時点で考えられる中枢神経系と肥満発生の関係, ひいては肥満の素因についての若干の整理を試みた.
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© 日本小児小児神経学会
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