脳と発達
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ビタミンB6と中枢神経疾患
特にB6依存症について
多田 啓也
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1982 年 14 巻 2 号 p. 89-98

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抄録
生理的需要量を越えた多量のB6の投与により臨床症状ないし所見の改善がみられ, 投与を中止すると再び悪化するという一連の疾患をB6依存症と呼んでいる.これらB6依存症の多くは中枢神経症状を呈し多量のB6に反応するという点では共通であるが, それぞれの疾患で異なった1ヵ所の代謝過程の障害が推測され, 相互に重複はみられない.これは補酵素側の異常では説明困難であり, B6の関与するいずれかのアポ酵素の異常と考えるのが合理的である.この推測のもとに吾々は検索を進め, B6依存性痙攣ではグルタミン酸脱炭酸酵素, B6依存性サンツレン酸尿症ではキヌレニナーゼ, B6依存性高オルニチン血症ではオルニチントランスアミナーゼのアポ酵素に異常があり, ピリドキサル燐酸との親和性の低下が存することをinvitroで証明した.これらの研究成果を中心に中枢神経系症状発現の機作について述べた.
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© 日本小児小児神経学会
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