脳と発達
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バルプロ酸の投与中におこったReye-like syndromeの1例
杉本 健郎西田 直樹安原 昭博坂根 義己小野 厚谷内 清
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1982 年 14 巻 4 号 p. 437-439

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抄録

最近,抗痙攣剤バルプロ酸によると思われる致死的な肝障害が問題となっている.
症例は13歳女児でバルプロ酸の他にPB,CBZ,PHTを投与中に呼吸停止,痙攣を主訴として来院した. 血液検査でGOT,GPT,動脈血アンモニアの著増と髄液検査が正常域であることより臨床的にライ症候群と診断した. 発症2日目の肝生検で散在性の肝細胞壊死,びまん性の小脂肪滴がみられ,電顕ではミトコンドリアの腫大は少なく,マトリックスのdensityの増加とelectron dense depositsがみられ,この結果よりReye-like syndromeと診断した. なお脳症発現の10ヵ月前の検査では,肝機能は正常域であったが,血中アンモニアの上昇がみられた. バルプロ酸による高アンモニア血症,肝機能障害の詳細な機序はなお不明であるが,若干の考察を加え,自験例を報告した.

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© 日本小児小児神経学会
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