脳と発達
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ダウン症児の筋緊張低下と他動的関節可動角度
長田 香枝子日暮 真石川 憲彦池田 由紀江
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1982 年 14 巻 5 号 p. 456-464

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抄録

ダウン症児の筋緊張低下の一端を知る目的で, スカーフサイン, 手関節背屈, 股関節屈曲, 足関節背屈の他動的関節可動域の測定をし, 併せて正常児の成長・発達による筋緊張の推移を調べ比較検討を行った.ダウン症児は染色体分析にて標準21トリソミー型と診断された84人で, 正常対照児は124人であった.結果は, 全検査項目もダウン症児は正常対照児よりも関節可動域が大きかった.このことは, 筋緊張低下の一つの要素であるextensibilité が充進していることを示している.筋緊張は, 両群とも年齢増加とともに高まる傾向を示した.ダウン症児の低筋緊張の男女差はなかった.スカーフサインと手関節背屈の相関係数は0.71, 股関節屈曲と足関節背屈では0.83, 手関節背屈と足関節背屈では0.81, スカーフサインと股関節屈曲では0.75であった.即ち, 標準21トリソミー型ダウン症の筋緊張低下は, 全身性のものであるということが示唆された.

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© 日本小児小児神経学会
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