脳と発達
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正常新生児およびハイリスク新生児における聴性脳幹反応 (BAERs) の出生直後の変化
冨田 豊阿部 勝利森 忠三
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1984 年 16 巻 4 号 p. 279-284

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抄録

満期出生の正常新生児36名, ハイリスク新生児14名を対象として, 出生直後から生後1カ月までに合計71回の聴性脳幹反応 (BAERs) を測定し, 以下の結果を得た.
1.正常新生児では, 出生直後 (生後24時間以内) には各波潜時あるいは1波と各波の間隔が延長していた. とくにV波潜時, I-V波間隔では統計的有意差 (P<0.01) をもって確認できた.
2.ハイリスク新生児では, 出生直後 (生後24時間以内) には各波とも誘発が困難な例が多かった。測定が可能であったV波潜時, あるいはI-V波間隔の延長度は正常新生児群とほぼ同様であった.
3.ハイリスク新生児のBAERsに異常をもたらす特定の要因は同定できなかった. 出生直後の新生児の脳幹機能をBAERsで評価するにあたっては, 正常群での変化を念頭におく必要がある.

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© 日本小児小児神経学会
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