1985 年 17 巻 3 号 p. 198-202
正常乳児および発達障害児を対象として, 踵骨反射 (Fersen reflex) の反射潜時と反射持続時間を筋電計を用いて測定した.
反射潜時は正常乳児と発達障害児各群で差がなかった.潜時は約10msecと短く, このことは, この反射がmonosynapticな伸展反射の一種であろうことを示唆した.反射持続時間は発達障害児群のうち, 脳性麻痺児で正常乳児に比較し延長していた.また, 正常乳児では生後5カ月以後, 反射の低反応, 無反応例が増加するのに比較し, 脳性麻痺児では, より年長児においても明瞭に反応が認められ, この反射の長期残存がみられた.