脳と発達
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Goldenhar症候群に頭蓋内病変を伴った一乳児例
白國 隆行山崎 駿佐藤 博美
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1985 年 17 巻 3 号 p. 251-255

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抄録

Goldenhar症候群は眼瞼類皮腫, 耳介前部皮膚突起および脊椎骨奇形を特徴とする第1・2鰓弓形成異常である.著者らはGoldenhar症候群に右側頭部くも膜嚢胞, 右小脳橋角部類皮腫さらに交通性水頭症を合併した稀な一乳児例を経験したので報告する.症例は4カ月の女児で, 生下時より右耳介の形成異常と頭蓋非対称を指摘され, 右前頭側頭部の膨隆を主訴として当科に紹介された.入院時, 頭囲は46cmであり, 耳介を中心とした奇形と右眼瞼部の類皮腫が認められた.頭蓋内病変に関してはCTスキャンにて右側頭部のくも膜嚢胞, 交通性水頭症, 右小脳橋角部および右側頭骨錐体前面の腫瘤性病変が確認され, この腫瘤はEMI numberより類皮腫と診断した.水頭症に対しては脳室腹腔間短絡術を, 側頭部の骨膨隆に対しては頭蓋形成術を施行した.本例はGoldenhar症候群に頭蓋内病変を合併した稀な乳児例であり, 本症候群に対してCTスキャンの有用性を強調した.

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© 日本小児小児神経学会
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