1985 年 17 巻 4 号 p. 357-362
仮死にて出生, 生後2日目より痙攣出現, 3カ月半より点頭てんかんの症状を呈した4カ月男児の症例.ACTH療法にて発作抑制困難であり, 高乳酸, 高ピルビン酸血症, 高アラニン血症を認めたため, 各種負荷試験を行い, 肝生検による酵素検索で, ピルビン酸脱水素酵素 (E1) の著明な低下を認め, 上記の如く診断した.生後8カ月のCTスキャンでは, 脳室拡大を伴った脳萎縮と白質のびまん性低吸収域を認め, demyelinationの所見と思われた.また, 11カ月時の筋生検所見では, 光顕, 電顕ともに, ミトコンドリアに異常は認められず, mitochondrialmyopathyとの関連は得られなかった.治療では, サイアミン, リポ酸による効果は, ほとんどなかった.