脳と発達
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小児単純ヘルペス脳炎の早期診断
杉本 健郎岡崎 仁志原 統子禹 満西田 直樹安原 昭博小林 陽之助渡辺 一男笠原 勝坂根 義巳谷内 清
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1985 年 17 巻 5 号 p. 391-397

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抄録

年間に小児単純ヘルペス脳炎 (HSE) を10例経験した.診断は, ウイルス抗体価の有意な上昇 (7例) とウイルス培養 (3例) であった.予後は不良 (3例死亡, 6例重度脳障害, 1例てんかん発作) であった.予後の改善には早期診断が必要であり, 各例の診断を症状, 脳波, CT面より再検討した.
早期症状は痙攣が80%で, うち78%が片側痙攣であり, 髄液は, 早期に正常所見が半数にみられた.発症後1週以内の脳波は7例中4例に周期性発射, 側頭部棘波がみられ, CTは6例中2例に側頭部の異常を示した.ELISA法による後方視的検討では, 髄液IgGと血清IgM抗体の検討で, 発症後3~5日目にHSEの早期診断ができる可能性を示した.

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© 日本小児小児神経学会
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