脳と発達
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片側運動領に脳腫瘍を認めた点頭てんかんの1例
三宅 捷太山下 純正山田 美智子岩本 弘子関戸 謙一山口 和郎原 正道佐々木 佳郎
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1986 年 18 巻 4 号 p. 316-321

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抄録

脳腫瘍により点頭てんかんが発症したと考えられる症例報告は少ない. 大脳皮質運動領の限局性脳腫瘍が認められた点頭てんかんの1例を報告した. 症例は10カ月男児で生後7カ月の突発性発疹症の発症後にBNS発作を示し, 生後10カ月に受診し点頭てんかんと診断された. 初診までの発達・発育は正常で理学的・神経学的所見に異常を認めなかった. 入院時のCT・髄液に異常なく, 脳波上, 焦点性異常のないmodified hypsarhythmiaを認めた. 種々の抗痙攣剤, ACTH療法に抵抗した. 生後11カ月に, 軽度の左下肢麻痺が出現し, CTにて右頭頂葉傍矢状部付近にmass effectを伴わない高吸収域を認めた.2歳時に摘出術を行い, gangliocytomaの病理診断を得た. 症状は術後にやや改善したが, 依然として治療に抵抗性である.

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© 日本小児小児神経学会
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