1986 年 18 巻 5 号 p. 413-417
性の異なる同胞に発生した先天性水頭症例を経験した. 従来より遺伝性の水頭症としては中脳水道閉塞を原因とし, 男児にのみ発症する伴性劣性遺伝形式がよく知られている. 呈示した2例はCT scanより, 中脳水道閉塞症とも考えられ, この家系には他に水頭症例が存在しないことから常染色体性劣性遺伝と推察された. これまで女児を含む遺伝性水頭症の家系は数例の報告があるが, 本邦においては見あたらない. その臨床像も明らかではないが, 伴性劣性遺伝の水頭症と比較し, 栂指の異常屈曲等の奇形の合併はなく, 本例に関する限りは短絡術後良好な発達をとげており, 予後は良好と考えられた.