脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
性の異なる同胞に発生した先天性水頭症
その病態および遺伝形式について
山田 洋司大井 静雄
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 18 巻 5 号 p. 413-417

詳細
抄録

性の異なる同胞に発生した先天性水頭症例を経験した. 従来より遺伝性の水頭症としては中脳水道閉塞を原因とし, 男児にのみ発症する伴性劣性遺伝形式がよく知られている. 呈示した2例はCT scanより, 中脳水道閉塞症とも考えられ, この家系には他に水頭症例が存在しないことから常染色体性劣性遺伝と推察された. これまで女児を含む遺伝性水頭症の家系は数例の報告があるが, 本邦においては見あたらない. その臨床像も明らかではないが, 伴性劣性遺伝の水頭症と比較し, 栂指の異常屈曲等の奇形の合併はなく, 本例に関する限りは短絡術後良好な発達をとげており, 予後は良好と考えられた.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top