脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
小児脱髄疾患に対するパルス療法の試み
石田 也寸志長尾 秀夫森本 武彦黒江 兼司高橋 貢羽原 心治永井 宏尚松田 博
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 18 巻 6 号 p. 477-483

詳細
抄録
小児脱髄疾患の治療にはステロイドホルモンやACTHが使用され, その有効性が認められている.著者らは, 9歳および10歳発症の多発性硬化症2例, 11歳発症の急性散在性脳脊髄炎1例に, メチルプレドニゾロンによるパルス療法を施行し, 臨床症状, 脳波, 頭部CT等への影響について検討した.1) 臨床症状はパルス療法開始後数日以内に著明な改善が認められた.2) 脳波で認められた徐波化は1カ月以上を経て徐々に改善された.3) 多発性硬化症2例における頭部CT所見では, リング状増強効果はパルス療法により消失し, 低吸収域を残すのみとなった.4) 副作用として重篤なものはなかった.以上の結果から小児脱髄疾患の治療としてパルス療法は有効かつ安全な治療法であると思われた.
著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top