脳と発達
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風疹脳炎におけるneuron-specific enolase値の変動について
野崎 秀次奈良 隆寛堀田 秀樹前川 喜平
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キーワード: 風疹脳炎
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1988 年 20 巻 5 号 p. 392-397

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抄録

Neuron-specific enolase (NSE) は, 神経領域の急性炎症性疾患において, 重症度や予後を判定する上での指標としての役割が期待されている. 今回私達は, 風疹脳炎の8小児例について, 髄液および血清中のNSEを経時的に測定した. その結果, 髄液中NSE値は急性期には上昇をみないことが多く, 風疹脳炎が比較的予後の良好な疾患であることと一致していた. しかし, 重症例では軽度な上昇を示し, 髄液中NSE値は他の検査法より鋭敏である可能性が示唆された. また, これとは別に臨床症状の回復期に髄液中NSE値の一過性の上昇が見られた. これに対して血清では髄液中の上昇が軽度の場合は明らかな変動はみられず, その意義はうすいと思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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