1989 年 21 巻 3 号 p. 215-221
再生不良性貧血における頭蓋内出血は致命的合併症である.CT検査で確認しえた4例6回の自験例 (脳内血腫3回, くも膜下出血2回, 硬膜下出血1回) を, 分析, 検討した.他の部位の出血症状が出現し始めて約1年で発症し, 短期間に再発をきたしやすい.出血の様態は多様であり, 出血の誘因としては血小板減少のみならず, 多因子的出血傾向の介在が示唆された.保存的療法 (血小板輸注, 脳圧管理), あるいは持続スパイナルドレナージは, 良好な結果をえた.急激な経過をたどる脳内血腫にたいし, 今後緊急摘脾術を併用した開頭血腫除去術を検討すべきであると考えられた.