脳と発達
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小児皮膚筋炎・多発性筋炎に対するガンマグロブリン大量療法の試み
森田 玲子中野 和俊平野 幸子泉 達郎平山 義人鈴木 暘子宍倉 啓子岡田 典子大沢 真木子福山 幸夫
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1989 年 21 巻 6 号 p. 523-528

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抄録

小児の皮膚筋炎 (DM) と多発性筋炎 (PM) の各1例にガンマグロブリン大量療法 (IVGG) を試み, 臨床効果を得た.
対象症例は, 2歳9カ月発症のDM女児と12歳9カ月発症のPM女児. DM例はプレドニン内服, メチルプレドニゾロンによるパルス療法に次いで, 発症後5カ月にIVGGを施行. PM例はプレドニン内服, 血漿交換療法, 免疫抑制剤に次いで, 発症後12カ月にIVGGを施行.
投与方法は, 乾燥ポリエチルングリコール処理ヒト免疫グロブリン400mg/kg/dayの5日間点滴静注を1クールとし, DMに1クール, PMに3クール投与した.
効果判定は, 筋力改善度と血清CKの減少率でおこなった. 筋力改善はDMで1クール投与後1週, PMで2クール投与後2週で出現した. 両者とも筋力改善は持続し, DMでは1クール投与後4週から正常状態を保っている. 血清CK値の改善に関しては, DMでは, 50%減少に約10日, 正常化 (100mU/ml以下) に4週かかり, PMでは, 20%減少を最低値 (651mU/ml, 2クール投与後2週) としてその後は再上昇がみられた.
2症例のIVGGに対する効果の差異に関して, 年齢, IVGGの施行時期, 基礎疾患の違い (特に免疫学的な筋障害過程の違い) 等, 文献的考察を加えて検討した.

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© 日本小児小児神経学会
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