抄録
生後1日の新生仔マウスに5%酸素95%窒素の混合ガスを8時間負荷すると, その20%に脳内出血を生じる. partialasphyxiaの修復過程を解明するため, 出血確認後24時間の時点における海馬初期病変を線維性astrogliaのマーカーであるglial fibrillary acidic protein (GFAP) に対する免疫組織染色を用いて調べた. その結果, 実験対照群ではほとんど認められなかったGFAP陽性細胞が, 出血マウスでは錐体細胞の残存した海馬皮質に多数認められた. 低酸素性虚血性障害時の新生仔脳におけるGFAP陽性細胞の出現は成熟脳の実験的脳梗塞に比べて時間経過が極めて早く, この結果は新生仔脳の修復反応の特異性を示すものと思われた.