抄録
某県下全域における学齢児の重症心身障害児 (大島分類1~4該当児) の有病率・障害の重複の実態・障害の原因を検討した.県下の学齢児総数は約10万2千人, 重症心身障害児措置入院施設, 養護学校, 児童相談所を対象とした調査から確認された重症心身障害児は合計50名であり, その有病率は該当人口千人当り0.49であった.大島分類別にみると分類1該当児が全体の66%を占め, 重度障害児が多かった.てんかん, 視力障害, 呼吸障害, 摂食障害の合併はそれぞれ全体の82%, 42%, 16%, 32%であった.障害の原因の発生時期では, 出生前が過半数の60%を占め, 周生期, 出生後の割合は相対的に低かった.過去の報告と比較して本邦における重症心身障害児の有病率は低下傾向にあり, また出生前の病因の重要性が相対的に増加していると結論した