抄録
新生児期における中枢神経系奇形の早期診断には, 脳CT scanやMRIなどの放射線学的診断法, 超音波診断法, 羊水診断法などが極めて有効で, いまや胎児期に診断を下すことが可能になっている。しかし正確な診断を下すには, 中枢神経系奇形を正確に理解しておかなければならないので, 新生児期の遭遇しやすい中枢奇形を中心に解説してみた.また最近無脳児と臓器移植の問題が話題となっているので, 無脳児の臨床・病理についてもふれてみた. 近い将来わが国でも, 高度の中枢神経奇形の取り扱いについて, 医師がどうあらねばならないかを問われる時代が来ているものと思われる。